なぜ今「字幕を自動で作る仕組み」が重要なのか?

オンライン動画やウェビナー、eラーニング、DVDアーカイブなど、扱うコンテンツが増えるにつれて、「後から字幕を付けたい」というニーズも確実に高まっています。

しかし実際には、字幕を手作業で起こそうとすると、

  • 再生と一時停止をくり返す
  • タイムコードを一つ一つ打ち込む
  • 誤字や聞き間違いをチェックする

といった作業の連続になり、時間もコストも大きな負担になります。

こうした背景から近年は、音声認識や生成AIを活用し、音声から自動で字幕を作成し、必要な部分だけ人が手直しするというワークフローが主流になりつつあります。

本記事では、とくに日本市場で利用されることの多い字幕自動生成できる6つのツールを取り上げ、

  • どのような場面で使うと効率が良いのか
  • どこまで無料で試せるのか
  • DVD資産の再活用に適しているのはどれか

といった観点から比較・紹介します。

そして後半では、DVD向けの新機能としてまもなくリリースされる DVDFab「AI Subtitle Generator」について、その特徴と使い方を詳しく解説していきます。

第1章 今回比較する字幕自動生成できる5つのツールと評価ルール

1-1. 比較対象の5本

今回取り上げるのは、以下の5本です。

  1. Vrew(動画編集+自動字幕で国内ユーザーが多い)
  2. Adobe Premiere Pro(Speech to Text)(編集ソフト内蔵の文字起こし)
  3. DaVinci Resolve(Studio版で強力な字幕・音声処理)
  4. YouTube Studio 自動字幕(完全無料のベースライン)
  5. Subtitle Edit + Whisper(ローカル構成)(無料で柔軟にカスタマイズ可能)

1-2. 評価の視点

各ツールは、次のようなポイントで見ていきます。

  • 文字起こし精度:誤変換・句読点・固有名詞の扱い
  • 処理速度:1時間の動画を処理するのにどれくらいかかるか
  • 無料でできる範囲:時間制限・機能制限・透かしなど
  • ワークフロー適性:編集・翻訳・焼き込み・SRT/ASSなどの書き出し
  • プライバシー:ローカル完結か、クラウドにアップロードするか
  • DVDとの相性:DVD/ISO/フォルダの入力に対応しているか

第2章 厳選5ツールの特徴紹介と徹底比較

まずは、全体像をテーブルで整理します。

2-1. 概要の比較表

区分

ツール名

無料で試せるか

日本語の体感精度

処理速度の印象

DVD/ISO対応

特徴

デスクトップ

Vrew

あり(制限付き)

良好

普通

自動文字起こしとテロップ編集が一体化。YouTuberやショート動画制作者に人気

編集ソフト内蔵

Adobe Premiere Pro(Speech to Text)

体験版

高い

普通

編集タイムライン上で文字起こしと字幕生成が完結する

編集ソフト内蔵

DaVinci Resolve(Studio)

体験版

高い

普通

映像・音・色補正とセットで字幕を管理しやすい

クラウド

YouTube Studio 自動字幕

完全無料

まずまず

普通

YouTubeにアップするだけで自動で字幕が付く。コストゼロの基準点

ローカル+OSS

Subtitle Edit + Whisper

無料

モデル次第で高い

環境次第

△(動画化してから投入)

無料ながら柔軟性が高く、本格的な字幕編集に向く

用途ごとのざっくりおすすめ

  • YouTubeやショート動画向けにテロップ風字幕を素早く作りたい
    → 編集・装飾とセットで使える Vrew や、まずは YouTube Studio 自動字幕
  • 既にPremiere ProやDaVinci Resolveが制作の中心にある
    → それぞれの編集ソフト内蔵の字幕機能を活用するのが効率的
  • コストを抑えつつ、細かい調整まで自分でやり込みたい
    → 無料で高機能な Subtitle Edit + Whisper 構成

ここからは、それぞれのツールをもう少し詳しく見ていきます。

2-2. Vrew(動画編集+自動字幕で人気)

自動文字起こし、字幕編集、テロップ作成が一体になったデスクトップアプリであるVrew。YouTubeやショート動画、解説動画などを作るクリエイターに広く使われています。

特徴

  • 動画を読み込むと、自動で音声からテキストを起こしてくれる
  • テキストを編集すると、そのまま字幕やテロップにも反映される
  • テンプレートやプリセットを使って、見栄えの良いテロップが作りやすい

メリット

  • 「しゃべった内容をそのままテロップ化する」という用途にとても向いている
  • 編集画面が分かりやすく、日本語も扱いやすい

注意点

  • 無料版は、書き出し形式や利用時間に制限がある
  • 放送用字幕のように、厳密な行長・表示秒数・改行位置を管理したい場合は、ルール設計が必要

向いているユーザー

  • YouTubeやSNS向けの動画を量産している個人クリエイター・小規模チーム
  • テロップ制作の時間をとにかく短縮したい人

2-3. Adobe Premiere Pro(音声テキスト変換機能を活用

映像編集ソフトの定番、Adobe Premiere Proには、音声を自動でテキスト化し、字幕を生成する「音声テキスト変換
」機能が搭載されています。

特徴

  • タイムライン上のクリップから直接文字起こしができる
  • 生成したテキストをもとに、キャプション(字幕)トラックを自動作成
  • フォント、位置、スタイルなどをPremiere内で統一管理できる

メリット

  • 編集から字幕作成、納品用書き出しまでが同じプロジェクトで完結する
  • 既にPremiereを使っている現場であれば、新しいツールを覚える必要が少ない

注意点

  • Premiereを使ったことがない人にとっては、全体の操作を覚えるのにやや時間がかかる
  • 利用環境によってはクラウド機能と連携して動く部分もあるため、社内ポリシーの確認が必要

向いているユーザー

  • すでにPremiere Proで編集を行っている制作会社・フリーランス
  • 動画編集と字幕作業をまとめて1つのタイムラインで管理したい人

2-4. DaVinci Resolve(Studio版での字幕・音声処理)

カラーグレーディングで有名なDaVinci Resolveは、編集・音響・字幕を統合した総合ツールでもあります。Studio版では音声処理や音声認識の機能が強化されています。

特徴

  • 映像編集、色補正、音声編集(Fairlight)、字幕管理が一体化
  • 長尺の映画やドラマ、講義動画など、複雑なプロジェクトでも管理しやすい
  • バージョンやエディションによって、自動文字起こしや字幕機能の有無・仕様が変わる

メリット

  • 長尺コンテンツに向いたタイムライン設計と、細かい音声処理が可能
  • 字幕だけでなく、全体のクオリティ管理がしやすい

注意点

  • 自動文字起こしや字幕機能がどの程度使えるかは、利用しているバージョンによって異なる
  • 無料版でも多くの機能を使えるが、音声関連の高度な機能はStudio版側にあることが多い

向いているユーザー

  • 映画・ドラマ・長尺講義などを扱う制作チーム
  • 色・音・字幕をまとめて高品質に仕上げたい現場

2-5. YouTube Studio 自動字幕(完全無料)

動画をYouTubeにアップロードすると、自動的に音声から字幕を生成してくれる機能です。完全無料で使えるため、「まずはどのくらいの精度か試してみたい」というときの基準になります。

特徴

  • YouTubeにアップロードするだけで、自動で下書き字幕が作られる
  • ブラウザ上の編集画面で、テキストを修正・タイムコードを微調整可能
  • そのままYouTubeの動画に字幕として表示できる

メリット

  • コストゼロで始められる
  • YouTube配信がメインの人にとって、導線が非常に短い

注意点

  • 元の動画をYouTubeにアップロードする前提のため、社外秘・未公開コンテンツには使いにくい
  • 字幕ファイルとしての細かい制御や、放送用フォーマットへの対応は限定的

向いているユーザー

  • YouTubeを主な配信チャネルにしている個人・企業
  • まず無料で自動字幕の雰囲気を試してみたい人

2-6. Subtitle Edit + Whisper(ローカル・無料で本格派)

無料の字幕編集ソフト「Subtitle Edit」と、オープンソースの音声認識モデル「Whisper」を組み合わせた構成です。環境のセットアップは少し手間ですが、無料ながら本格的な字幕制作環境を構築できます。

特徴

  • 音声認識にWhisperを使い、動画や音声ファイルからテキストを生成
  • Subtitle Edit側で、波形を見ながらタイムコードやセリフの区切りを細かく調整可能
  • SRT、VTT、ASSなど、さまざまな字幕フォーマットに対応

メリット

  • ソフトウェア自体はどちらも無料で利用できる
  • ローカル環境で完結するため、機密性の高い素材にも使いやすい
  • モデルを変えたり、辞書・一括置換機能を使ったりと、細かいこだわりが可能

注意点

  • セットアップ(モデルのダウンロード、GPU環境の準備など)にある程度の技術的知識が必要
  • DVDを直接読み込む機能はないため、先に動画ファイル化しておく必要がある

向いているユーザー

  • 予算を抑えつつ、クオリティにはこだわりたい個人・研究室・教育機関
  • OSSツールの運用に抵抗がなく、細かい調整を自分で行いたい人

第3章 DVDFab AI Subtitle Generatorの詳細レビュー(まもなく登場)

3-1. DVDFab「AI Subtitle Generator」(新機能/DVD特化)

DVD/Blu-ray関連ソフトで知られるDVDFabに、新しく追加されたDVD向けの機能が 「AI Subtitle Generator」 です。DVDディスク・ISOファイル・フォルダ構造をそのまま読み込み、AIで字幕を自動的に作成し、さらに校正を行ったうえでSRTとして書き出せます。

主なポイント

  • 入力ソース:DVDディスクから選択可能
  • プロファイル:AI Subtitle Generator (AI.SRT) を選ぶだけでAI字幕生成モードに
  • エラー表示:音声トラックが無い場合など、ダイアログで丁寧に案内

強み

  • DVDに特化しているため、DVDアーカイブのデジタル化と字幕付けを同時に進めやすい
  • 生成から校正、SRT出力までひとつのソフトの中で完結する
  • ローカル処理のため、クラウドに映像をアップロードしなくてよい

注意点/コツ

  • 長時間タイトルを一度に大量処理するときは、キュー(ジョブ)管理を意識した方が安定する
  • 音声トラックが特殊な場合は、事前にトラック選択や言語設定を確認しておく

向いているユーザー

  • 教育機関や企業のDVD教材・セミナーDVDをまとめて字幕付きでデジタル化したい
  • 機密性の高い映像をクラウドに出したくないチーム
  • 工程をできるだけシンプルにしたい小規模制作・ワンオペ担当者

DVDデジタル化×AI字幕の実際

ここからは、今回の主役である DVDFab「AI Subtitle Generator」 に焦点を当てて、具体的な使い方と、現場での運用イメージを紹介します。

3-2. 新機能で何が便利になったのか

従来、DVDから字幕を付ける場合は、

  1. DVDをリッピングして動画ファイルに変換
  2. 別の音声認識ツールで文字起こし
  3. さらに別ソフトで字幕として整形・書き出し

…というように、複数のツールを行ったり来たりする必要がありました。

AI Subtitle Generator を使うと、

  1. DVD/ISO/フォルダをそのまま指定
  2. AIによって字幕テキストを自動生成
  3. 同じソフト内で校正し、SRTとして書き出し

という形で、工程が大きくまとまります。

3-3. 基本的な使い方

  1. 入力ソースの指定
    • メイン画面で対象のDVDソースを選びます。
  2. プロファイルでAI字幕モードを選択
    • プロファイル一覧から 「AI Subtitle Generator (AI.SRT)」 を選択します。
  3. 音声トラックと言語の確認
    • 「Audio Language」で使用する音声トラックの言語を指定
    • 「Subtitle Language」で生成する字幕の言語を指定
    • 未選択の場合はエラーや警告が出るので、ここは必ずチェックします。
  4. 結果を確認してSRTを書き出し
    • 生成された字幕はテキストとして確認し、誤認識や固有名詞を修正します。
    • 問題なければSRTとして書き出し、翻訳や焼き込みなど次の工程に回します。

第4章 DVDデジタル化の新しいワークフローとAI字幕の未来

これからの技術的な方向性

  • ノイズに強い音声認識モデルの普及
  • 話者ごとの分離・ラベリング(誰が話しているか)
  • 業界固有の用語に対応したカスタム語彙
  • ローカルGPUを活かした高速処理

こうした技術の進化により、今後は「だいたい合っている」レベルを超え、校正工数のさらに縮小が期待できます。

現場で使いやすい基本ワークフロー

DVDを例にすると、次のような流れが扱いやすいでしょう。

  1. DVDを直接読み込み
  2. DVDFabで字幕の自動生成
  3. SRTなどの形式でエクスポート
  4. 必要に応じて翻訳版の字幕を作成
  5. 外部字幕として配信/映像に焼き込み

法務・セキュリティの基本

  • DVDコンテンツの取り扱いは、著作権やライセンスに従う必要があります。
  • 機密情報や個人情報を含む映像は、なるべくローカル環境で処理するのが安全です。
  • クラウド型のサービスを使う場合は、利用規約・データ保持ポリシーを必ず確認しましょう。

第5章 よくある質問(FAQ)

Q1. 無料で使える自動字幕ツールだけで、業務に耐える品質になりますか?

A. 短い動画や社内向け資料であれば、無料の自動字幕でも十分な場面があります。ただし、長尺コンテンツや配信・販売を前提としたコンテンツでは、精度や制限の面から、有料プランやローカルソフトの導入を検討するケースが多いです。

Q2. DVDのコピーガードがかかったディスクにも使えますか?

A. 法律やライセンスの制限があるため、権利的に問題のないディスク(自社制作や権利を保有している教材など)を対象とするのが基本です。運用前に必ず確認してください。

Q3. ノイズが多い録音や、マイクが遠い映像でもうまく認識できますか?

A. 事前にノイズリダクションをかける、音量を揃える、なるべくマイクを近づけた収録にするなど、録音段階の工夫で精度は大きく変わります。また、聞き取りにくい部分はAI任せにせず、人の耳で確認したほうが確実です。

まとめ

今は「全部を手打ちする時代」ではなく、AIで字幕を自動生成し、人が最終チェックを行う時代になりつつあります。

  • ツールによって得意分野はさまざまです。
    • DVDアーカイブの再活用 → DVDFab AI Subtitle Generator(まもなく登場)
    • YouTube・ショート動画制作 → VrewYouTube Studio 自動字幕
    • 既存の編集フロー重視 → Premiere ProDaVinci Resolve
    • 費用を抑えつつ細かく調整 → Subtitle Edit + Whisper

まずは、自分たちの素材・作業量・セキュリティ要件に合ったツールを1つ選び、短い動画で試してみることをおすすめします。その上で、「生成にかかる時間」と「校正にかかる時間」のバランスを見ながら、最適な組み合わせを探していくのが、一番失敗の少ない進め方です。

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