Premiere ProでDVDを書き出すことはできる?

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まず結論として、Premiere ProにはDVDを直接作成する機能が搭載されていません。
Premiere Proはあくまで「動画編集ソフト」であり、DVD-Videoの作成に必須となるオーサリング機能が非搭載だからです。

かつては Adobe Encore CS6がDVD オーサリング用ソフトとして広く使われていました。しかし、Adobeは2019 年に Encore のサポートを完全終了。Premiere Pro に付属しなくなり、現在のユーザーは下記の手順が必要です:

  • Premiere Proで DVD 用のファイルを書き出す
  • 別のオーサリングソフトで DVD-Video に変換・書き込みする

この「オーサリング」とは単なる書き込みではなく、

  • 映像をDVD-Video形式(MPEG-2 + AC-3)への再エンコード
  • メニュー作成
  • チャプター設定
  • ディスク構造の生成(VIDEO_TSフォルダ/ISO)の生成

など、「プレーヤーで再生できるDVDを作る工程」を指します。

DVD-Videoの仕様と制限

DVD-Videoには厳格な仕様があるため、Premiere Proの通常書き出し(H.264 / MP4等)では DVDプレーヤーで再生できません。

DVD-Videoの技術仕様

項目 規格
映像コーデック MPEG-2
解像度(NTSC)日本・北米 720×480(SD)
解像度(PAL)欧州 720×576
フレームレート 29.97fps(NTSC) / 25fps(PAL)
最大ビットレート 9.8Mbps
アスペクト比 16:9 または 4:3
音声 AC-3 / PCM

なぜ高画質動画を作ってもDVDはSD画質?

DVDの仕様そのものが「SD解像度」なので、4K・2K・フルHDで撮影しても必ず720×480にダウンコンバートされます。

そのため、

  • 正しいMPEG-2書き出し
  • 高ビットレート設定
  • 再圧縮回数を減らす

これが画質維持のカギとなります。

Premiere ProでDVD用に動画を書き出す手順

ここでは、Premiere ProからDVDオーサリングに最適な形式(MPEG2-DVD)で書き出す手順を、初心者でも迷わないようにステップ形式で解説します。

Step1
書き出しウィンドウを開く

上部メニュー → ファイル > 書き出し > メディアで動画をエクスポートしましょう。

右上の共有アイコンから書き出すこともできます。または、左上の「編集」横にある「書き出し」から作業をしてもOKです。

Step2
DVD用フォーマットに設定

DVD向けの出力をしたい場合、最重要ポイントは「MPEG2-DVD」を選択すること」です。

設定項目 推奨値
形式(Format) MPEG2-DVD
プリセット(Preset)
  • 16:9 → NTSC DV Wide Progressive
  • 4:3 → NTSC DV Progressive
解像度 自動(720×480)
フレームレート 29.97 fps
フィールドオーダー Progressive(推奨)
出力名 保存先とファイル名を設定(拡張子が .m2v と .wav の2つのファイルに分かれます)

注意: 「MPEG2-DVD」形式で書き出すと、映像(.m2v)と音声(.wav/.ac3)が別々のファイルとして保存されます。オーサリングソフトによっては、これらを別々に読み込む必要があります。

Step3
Media Encoderで書き出す

設定が完了したら、「書き出し」または「キュー」→ Adobe Media Encoderで出力のどちらでもOKです。
書き出しが完了したら、次はオーサリングソフトでDVD化します。

Premiere Proで書き出した動画をDVDに焼く方法(オーサリング)

DVD書き込みには オーサリングソフト が必要です。中でも最も使いやすく失敗が少ないのがDVDFab DVD 作成。

DVDFab DVD 作成は、動画をDVDに書き込んだり、動画からISOファイルを作成したりできるソフトです。MP4、MKV、M2TS、FLV、MOV、VOB、WMV、Xvid、MTS、TSなど200以上のフォーマットに対応しており、動画を空のDVDメディアに書き込んだり、ISOファイル/フォルダとして保存したりできます。

DVDFab DVD 作成30日間無料体験】
  • MP4、MKV、M2TSなど200以上の動画形式に対応
  • 高画質で鮮明なDVD映像を作成できる
  • 豊富なテンプレートでメニューが簡単に作れる
  • トリミング、クロップ、ウォーターマーク追加などの動画編集機能を搭載
  • DVDディスク / ISO / フォルダ出力に対応
  • ハードウェアアクセラレーションで高速変換

<DVDFab DVD 作成でPremiere Proで書き出した動画をDVDに書き込む方法>

それでは、動画を書き込む空のDVDをドライブにセットして、作業していきましょう。

Step1
DVDFabを起動し、左側メニューから「作成」を選択して、「DVD 作成」モードを選ぶ
Step2
画面上の「+」ボタンをクリックして、作成したい動画ファイルを追加します。

Step3
必要に応じて、出力、字幕、オーディオトラックを選択します。動画編集を行います。

「動画編集」でクロップ、エフェクト、ウォーターマーク、字幕とチャプターを編集できます。

「詳細設定」をクリックして、出力DVDのボリュームラベル、出力(DVD5/DVD9)、テレビ画質、アスペクト比、再生モードなどを設定できます。

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テレビ画質の設定について、「NTSCとPALの違い」記事をご参照ください。

「メニュー設定」をクリックして、提供されたメニューテンプレートを使用して、カスタムメニューを簡単に作成して設定できます。

Step4
画面下部の「出力先」セクションで、作成されたDVDファイルの保存先ディレクトリを選択し「開始」ボタンをクリックする

Adobe Premiere Proで作成した動画をDVDディスクに書き込む場合、ドライブを出力ディレクトリとして指定する必要があります。進捗状況が100%になると、ドライブに空のDVDメディアを挿入して、書き込みを開始してください。

書き込み作業が完了すると、DVDが自動的に取り出されます。

ご注意:

  • DVDには標準画質(SD 720x480 or 720x576)しか書き込めません。高画質の場合はBlu-rayなどが必要です。
  • ディスク形式:リージョンコードやNTSC/PAL設定に注意(日本はNTSC)

プレミアプロで編集した動画を高画質でDVDに書き出すコツ

1. 元データを圧縮しない(再圧縮を避ける)

最も重要なのは、編集元の動画をなるべく劣化させないことです。

高画質をキープしたいなら、データは圧縮しないようにしましょう。データを圧縮してしまうと動画の画素数やフレームレートなどの情報が削除され画質が悪くなり、きれいな映像で収めることができないからです。

2. 書き出しのビットレートは「できるだけ高め」が基本

DVDの画質に最も影響を与えるのがビットレートです。Adobe Premiere Proで編集した動画を高画質でDVDに書き出したいなら、できるだけビットレートは最大にしましょう。

DVDの最大ビットレート:約9.8 Mbps

Premiere Pro側での設定値としては、

  • 推奨設定(VBR 2パス)
  • 最大ビットレート:8~9 Mbps
  • ターゲットビットレート:6~7 Mbps
  • VBR 2パス(必須)

3. 不要なシーンをカットして動画時間を短縮する

DVDは容量制限が厳しいため、

  • 長時間=ビットレートを落とす必要がある=画質が悪化

という構造になっています。

長い動画をDVDに書き出したい場合は事前に不要なシーンをカットする、音声を削除するなどの編集をしましょう。目安としては、片面1層のDVDの場合、60分以内くらいがおすすめです。

✔ 理想的な動画時間

  • DVD5(4.7GB):60~70分以下
  • DVD9(8.5GB):90~110分以下

長時間になりそうな場合は、

  • 使わないカットを削除
  • 不要な空白・フェードを間引く
  • Bロールを短縮

といった編集で時間を削りましょう。

4. フレームレートは DVD標準「29.97fps」に揃える

DVD-Videoでは基本的に 29.97fps(NTSC) が使用されます。
60fps素材をそのままDVD化すると、Premiere Proが自動変換するため、動きがカクつく、モーションが不自然になる場合があります。

✔ ベスト設定

  • 29.97fps に変換(Timelineも同じfpsに)
  • または、23.976p DVD向け設定を使う(プログレッシブ)

5. 色空間は「Rec.709」に統一する(白飛び防止)

DVDは SDR(標準ダイナミックレンジ)で記録されるため、色空間の異なる素材を混在させると、白飛びや黒つぶれが起きやすくなります。

✔ Premiere Proで確認する方法

シーケンス設定 → 色管理 → 作業カラースペース → Rec.709

✔ さらに白飛びが気になる場合

Premiere Proの「SDR最適化」エフェクトを追加すると階調が整い、DVD向けに適した映像になります。

6. 16:9素材は必ず「16:9ワイド」でDVD化する

DVDは4:3と16:9に対応していますが、設定を誤ると次のような問題が発生します:

  • 画面が横に潰れる
  • 黒帯が入る
  • 再生プレーヤーで映像比率がおかしくなる

✔ 推奨プリセット

  • NTSC DV Widescreen 16:9
  • NTSC DV Progressive Widescreen

Premiere Proでの書き出し時も、オーサリングソフト側でも両方チェックすることが大切です。

「Premiere Pro DVD 書き出し」に関するQ&A

1. Adobe Premiere Proで書き出しができません

最初に、Adobe Premiere Proとパソコンを再起動してみてください。書き出しエラーの原因が、一時的な不具合である可能性もあります。

また、書き出しの対象が選択されていないと、書き出しができません。書き出しウィンドウで、書き出したいシーケンスやクリップが選択されていることを確認してください。

最後に、ファイル名に特殊な文字や記号が含まれていると、書き出しエラーになる可能性があります。ファイル名を変更して、書き出しが正常に行われるか確認してください。

2. Adobe Premiere Proの動画を軽く書き出すには?

書き出し形式は、動画の画質や音質に大きく影響します。画質や音質を落とさずに容量を軽くしたい場合は、H.265やHEVCなどの最新のエンコード方式を使用しましょう。

動画の解像度を下げることで、容量を大幅に軽くすることができます。ただし、解像度を下げすぎると、画質が劣化する可能性がありますので注意してください。

解像度とフレームレートには、再生デバイスにより適切な値があります。例えばWebサイトにアップロードする動画の場合は、解像度を720p以下に、フレームレートを24fps以下に、ビットレートを5000kbps以下に設定すると、容量を軽くしながらも、十分な画質を維持することができます。

3. DVDプレーヤーで再生できるように焼くには?

動画をDVDオーサリングソフトでDVDフォーマットに変換しましょう。その際、DVDプレーヤーで再生できるようにするには、DVDディスクのフォーマットを「DVD-Video」にする必要があります。DVDプレーヤーによって再生できるフォーマットが異なりますので、使用するDVDプレーヤーの取扱説明書を確認してください。

4. Adobe Premiere Proで書き出した動画が白飛びしてしまいます…

まずPremiere Proを開いたら、右クリック>シーケンス設定から「作業カラースペース」を開き、「作業カラースペース」が「Rec.709」に設定されているか確認しましょう。

また、「SDR最適化」という機能を使うのも効果的です。SDR最適化はエフェクトパネルより動画に追加できます。

5. Adobe Premiere Proの書き出しでエラーになってしまった場合は?

書き出しの対象に使用している素材のファイル形式や解像度などが、書き出し設定と一致していないと、書き出しエラーになる可能性があります。書き出し設定を確認して、読み込み素材の情報と一致していることを確認してください。

また、

  • 書き出し形式
  • 解像度
  • フレームレート
  • ビットレート
  • エンコード方法

などを設定し直してみるのも有効です。

まとめ

今回はAdobe Premiere Proで作成した動画をDVDに書き出す方法を解説しました。DVDプレーヤーで再生できるDVDを制作したい場合は、DVD書き込み機能だけでなくオーサリングもできるソフトを選ぶことが大切です。DVDFab DVD 作成は無料で使える高機能なオーサリングソフトなのでおすすめです。Adobe Encore CS6のサポートは2019年に終了しているため、2025年現在は使用できません。高画質で書き出したい場合は、書き出しのビットレートを最大にしたりデータの出力回数を抑えたりしましょう。

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