字幕翻訳

目次

字幕翻訳とは?

字幕翻訳とは、映像作品に表示される字幕を、別の言語へ翻訳・編集して作成する作業のことです。字幕は単なる文字情報ではなく、視聴者が作品の内容を正しく理解するための重要な補助要素です。そのため、一般的な文章翻訳とは異なり「時間」「文字数制限」「視認性」「映像との同期」など、多くの要素を配慮しながら翻訳を進める必要があります。

字幕翻訳は主に以下の2種類に分けられます。

● 視聴者向け字幕(翻訳字幕)

映画やドラマ、アニメ、YouTubeなど、視聴者に内容を伝えるための字幕。
映像の雰囲気やキャラクターの性格、文化的背景を考慮しながら自然な日本語・自然な訳文を作ることが求められます。

● アクセシビリティ字幕(聴覚障害者向け字幕)

セリフだけでなく、効果音や音楽、話者情報なども含まれる字幕。
「(ドアの開く音)」「(音楽が流れる)」といった表現が使われ、情報量が多く、より正確な記述が求められます。

字幕翻訳はプロの翻訳者だけが行う仕事ではありません。近年は動画編集者や個人クリエイターが自分の動画で字幕を利用するケースも増えており、「手軽に字幕を翻訳したい」「既存の字幕を編集したい」というニーズが拡大しています。

字幕ファイルの種類(SRT / ASS / VTTなど)

字幕翻訳を行う上で欠かせないのが「字幕ファイル」です。字幕ファイルはテキスト情報と表示タイミング(タイムコード)を記録したファイルで、映像と同期して表示されます。ここでは、代表的な字幕フォーマットをわかりやすく解説します。

1. SRT(SubRip Subtitle)

最も一般的で広く利用されている字幕フォーマットです。

特徴
  • • プレーンテキスト形式で扱いやすい
  • • タイムコードと字幕テキストのみのシンプル構造
  • • 多くの動画プレイヤーや編集ソフトで対応

初心者でも編集しやすく、字幕翻訳の基本ともいえるフォーマットです。

SRT字幕の例(番号・時間・テキストで構成):

1
00:00:02,000 --> 00:00:04,000
こんにちは!

2
00:00:05,000 --> 00:00:07,000
今日は字幕翻訳について学びましょう。

2. ASS(Advanced SubStation Alpha)

アニメやMVなど、装飾性の高い字幕を作る際によく使用される形式です。

特徴
  • • 文字の色、位置、フォント、アニメーション効果などを細かく設定できる
  • • カラフルな字幕、歌詞字幕、テロップに最適
  • • Aegisub など専用ツールで編集可能

デザイン性が必要なプロジェクトでは欠かせない形式ですが、SRTより複雑なため、一定の知識が必要です。

3. VTT(WebVTT)

主にWeb動画やHTML5 プレーヤーで利用される字幕形式です。SRTに似ていますが、Web対応のメタデータを含めることができるのが特徴です。

特徴
  • • YouTube、Vimeo、HTML5 video タグなどで標準対応
  • • スタイリングにもある程度対応
  • • ウェブ配信向けの最適化された形式
  • • ウェブ動画を制作するクリエイターにとっては非常に便利なフォーマットです。

4. その他の字幕形式

字幕業界には上記以外にも、以下のような形式があります:

  • SUB/IDX:DVD・低レイヤー字幕に利用される画像ベース字幕
  • TTML/DFXP:ストリーミングサービスで採用されるXML形式
  • SSA:ASSの旧形式

プロジェクトによって必要な形式が異なるため、どのフォーマットで作成・翻訳するのか、事前に確認しておくことが大切です。

字幕を翻訳する5つの方法

字幕翻訳にはさまざまな方法があり、目的や作業量、精度に応じて最適な手段が変わります。ここでは、初心者からプロまで幅広く利用されている代表的な字幕翻訳の方法を紹介します。

1. 手動で字幕ファイルを翻訳する(最も基本的な方法)

最もオーソドックスな方法は、字幕ファイル(SRT/ASS/VTT など)をテキストとして開き、自分で翻訳して書き換える方法です。特にSRTは構造がシンプルなため、テキストエディタでも編集できます。

手動で字幕ファイルを翻訳する方法のメリットとデメリット

  • 一番自然で読みやすい字幕を作れる
  • キャラクターの口調・文化的背景・ギャグなどを忠実に表現できる
  • 誤訳・表記揺れなど細かい調整が容易
  • 商用利用にも最も向いている
  • とにかく時間がかかる
  • タイムコードを手動で調整する必要がある
  • 聞き取りが必要な場合、作業量が倍増
  • 専門用語・スラングなどの調査が必須

 2. オンライン自動翻訳サービスを使う

最近は、字幕ファイルをアップロードするだけで自動翻訳してくれるオンラインツールが増えています。

使用する代表的サービス

  • Google 翻訳(ドキュメント翻訳)
  • DeepL(ファイル翻訳対応)
  • ChatGPT(字幕内容を入力→翻訳)
  • Subtitle Translator(字幕専用翻訳サイト)

オンライン自動翻訳サービスを使う方法のメリットとデメリット

  • 無料または低コストで利用できるものが多い
  • SRT・VTT ならほとんどのサービスが対応
  • 専門的なソフトをインストールしなくても、ブラウザだけで完結する場合もある
  • 長文でも一気に翻訳できるので、作業スピードが速い
  • 直訳が多く、自然な日本語になっていないことが多い
  • タイムコードがズレる場合がある
  • 専門用語や固有名詞、作品固有の言い回しなどの翻訳が不安定
  • 翻訳クオリティはプロより劣るため校正が必須
  • 字幕用に「読みやすい長さ」に調整する作業は、結局人間がやる必要がある

そのまま公開する商用コンテンツには、自動翻訳だけで仕上げるのはリスクが高いと言えます。一方で、「全体の意味をざっくり把握したい」「個人で楽しむ用に大まかな翻訳がほしい」程度であれば、非常に便利な選択肢です。

3. 字幕翻訳ソフト・字幕編集ソフトを使う

字幕編集ソフトには翻訳サポート機能がついているものが多く、「自動翻訳+手動編集」のハイブリッド作業が可能です。

● 代表的なソフト

  • Subtitle Edit(無料・最も人気)
  • Aegisub(ASS字幕に強い)
  • YouTube Studio(VTT編集に最適)
  • Premiere Pro にインポートして編集
  • DaVinci Resolve(無料版あり)

字幕翻訳ソフト・字幕編集ソフトを使う方法のメリットとデメリット

  • タイムコードを視覚的に確認できる
  • 波形・映像を見ながら翻訳できるためズレが起こりにくい
  • スタイリング(フォント、色、位置)も同時に調整可能
  • 自動翻訳+手動編集を組み合わせて効率アップ
  • プロ向けソフトは価格が高め
  • 初心者には操作画面がやや複雑
  • 学習コストが必要(特にAegisub)
  • ソフトによっては日本語機能が弱いものもある
  • PCスペックがある程度必要で、ソフトの起動や書き出しに時間がかかる

4. 字幕生成ツールを使って、音声から自動字幕を作成する

動画に字幕がない場合、音声認識AIを使って「自動字幕 → 翻訳」の流れで字幕を作成できます。

● 代表的なツール

  • Whisper(高精度の音声認識)
  • YouTube 自動字幕
  • Premiere Proの自動字幕
  • Vrew(無料・多機能)

字幕生成ツールを使う方法のメリットとデメリット

  • 字幕がない動画でも字幕翻訳が可能になる
  • 音声認識の精度が高く、編集の手間が大幅に減る
  • 作業の自動化で時間短縮
  • 専門用語・固有名詞の誤認識が発生しやすい
  • ノイズが多い動画では精度が低下
  • 結局、手動チェックは必要

5. プロの字幕翻訳者に依頼する

最後は、プロの字幕翻訳者に依頼する方法です。
これは主に、

  • 映画・ドラマ・アニメなど、一般公開される映像作品
  • 企業のプロモーション動画・製品紹介映像
  • 研修・eラーニングなど、社内外で正式に使うコンテンツ

といった、品質や信頼性が特に重視されるケースで検討されます。

プロの字幕翻訳者に依頼する方法のメリットとデメリット

  • 英語や他言語のニュアンスを踏まえた、自然で読みやすい字幕が期待できる
  • 用語統一・表記ルール・文字数制限など、プロならではの基準に沿って仕上げてくれる
  • 法的・契約的な観点を含めた注意点も、ある程度相談しながら進められる
  • 当然ながら、コストがかかる(分数・文字数・言語ペアによって料金は変動)
  • 納期の調整が必要で、すぐに完成させたい場合には向かないこともある
  • 修正のたびにやりとりが発生するため、発注側にも一定のコミュニケーションコストがかかる

個人で楽しむ範囲の字幕翻訳であれば、ここまでの投資は不要なことが多いですが、「社外向けに配信する」「ブランドイメージに関わる映像である」といった場合は、最初からプロに依頼した方が結果的に安く・安全に済むケースも少なくありません。

字幕を翻訳する5つの方法の比較表

方法 コスト 代表的なツール メリット    デメリット   
1. 手動翻訳 ほぼ無料 テキストエディタ、メモ帳など
  • 最も自然で読みやすい字幕が作れる
  • 文化的背景やニュアンスを忠実に表現可能
  • 商用利用に最適
  • とにかく時間がかかる
  • タイムコード調整の手間がかかる
  • 聞き取りや専門用語の調査が必要
2. オンライン自動翻訳 無料〜低
  • Google翻訳
  • DeepL
  • ChatGPT
  • Subtitle Translator
  • 無料または低コスト
  • ブラウザだけで完結し、作業が速い
  • 長文も一気に翻訳可能
  • 直訳調で不自然になりがち
  • タイムコードがズレるリスクがある
  • 固有名詞や専門用語が不安定・商用利用にはリスクあり
3. 字幕編集ソフト 無料〜中
  • Subtitle Edit
  • Aegisub
  • Premiere Pro
  • DaVinci Resolve
  • 波形や映像を見ながら作業でき、ズレにくい
  • フォントや位置の調整(装飾)が可能
  • 自動翻訳と手動編集を組み合わせられる
  • 操作画面が複雑で学習コストが必要
  • PCスペックが必要
  • プロ向けソフトは高価な場合がある
4. 字幕生成ツール 無料〜低
  • Whisper
  • Vrew
  • YouTube自動字幕
  • Premiere Pro自動字幕
  • 字幕がない動画でもゼロから作成可能
  • 音声認識精度が高く、手間が激減
  • 作業の自動化で大幅な時短
  • 専門用語や固有名詞の誤認識が多い
  • ノイズが多い動画は精度が落ちる
  • 結局は手動チェックが必要
5. プロに依頼
  • プロの字幕翻訳者
  • 翻訳会社
  • ニュアンスを踏まえた自然な翻訳
  • 業界ルール(文字数制限等)に準拠
  • 法的な安心感がある
  • コストが高い
  • 納品まで時間がかかる
  • コミュニケーションコストが発生する

DVDの字幕を抽出・翻訳するには?

市販DVDには複数の字幕言語が収録されていることが多く、動画編集や字幕翻訳を行う際には、DVDの字幕データを抽出して翻訳・編集する必要があります。しかし、DVDの字幕は通常のSRT形式とは異なり、特殊なフォーマットで保存されているため、専門ツールが必要となります。

ここでは、DVDの字幕フォーマットの概要から、実際に字幕を抽出・翻訳するまでの流れを詳しく紹介します。

DVD(VOBファイル)の字幕は「テキスト」ではなく「画像」

DVDでは字幕データはVobSub(VobSub字幕) と呼ばれる形式で収録されています。これは字幕をビットマップ画像(グラフィック)として格納する方式で、字幕一つ一つが画像ファイルと同等の扱いです。

🔸 DVD字幕の構成

DVD字幕は通常次の2つのファイルで構成されています:

.idx(インデックスファイル):字幕を表示するタイミング(時刻情報)や画面上の位置を指定するファイル。
.sub (字幕データファイル):実際の字幕の画像データ(ビットマップ)が格納されているファイル。

🔸 DVD字幕の特徴

  • DVDの字幕はテキストではないため、そのままでは編集・翻訳ができない
  • DVDの字幕をテキスト化にはOCR(画像→文字)が必要
  • OCRには誤認識が発生するため、必ず人手で誤り(例:l/1、O/0、長音「ー」/ダッシュ)の修正する必要がある

🔸 なぜDVD字幕は画像なのか?

  • どの国の言語にも対応しやすい
  • 特殊フォント・ルビ・位置調整を再現しやすい
  • DVDの仕様上、彩色付き字幕を安定表示しやすい

しかし、翻訳作業の面では「画像字幕であること」が大きなハードルとなります。

重要な注意:多くの市販DVDには暗号化やコピー防止機能(DRM)が施されています。DRMを回避した抽出や複製は、多くの国・地域で違法です。以下は、自作DVDや保護されていない素材、権利者の明示的許諾がある場合に限る一般的・高レベルの手順です。具体的なDRM回避方法やツール名の手引きは提供できません。

高レベルの流れ(合法な範囲で)

  • 権利を確認:翻訳・抽出の許可、利用目的、配布可否を明確に。
  • 字幕ストリームの特定:言語コード(ja/en など)・トラック番号を確認。
  • データ抽出(デマルチプレックス):字幕ストリームを映像・音声から分離。
  • OCRでテキスト化:SRT/VTTへ変換し、人手で校正。
  • 翻訳・整形:行長・CPS・改行を調整し納品形式に書き出し。

焼き込み字幕(ハードサブ)の場合

画面に焼き付いた文字は抽出不可。フレームからOCRで新規作成するしかなく、誤認識が多いため入念な校正が必須。

代替案(合法・推奨)

  • 作品の公式スクリプト/CCデータの提供を権利者に依頼。
  • 配信版に付属するWebVTT/SRTを正規の利用条件で入手・翻訳。

字幕翻訳でよくあるトラブルと対処法

字幕翻訳の作業では、言語面だけでなく技術面でもさまざまなトラブルが発生します。特に初心者は、タイムコードのズレや文字化け、ソフトの設定ミスなどで作業が止まってしまうことが少なくありません。ここでは、字幕翻訳でよく起こるトラブルと、その対処方法を詳しく紹介します。

1. 字幕が動画と合わない(表示タイミングのズレ)

主な原因

  • 字幕ファイルのフレームレート(FPS)が動画と合っていない
  • 動画の冒頭に広告や余白がある
  • DVD抽出時にタイムコードがずれた
  • 自動字幕生成の精度が低い

対処法

  1. SubtitleEditの「同期」機能で自動調整する
    「同期→動画に合わせて調整」や「全体を○秒ずらす」で修正可能。
  2. FPSを動画に合わせる
    SRTは通常FPSの影響を受けませんが、ASSはFPSを合わせないとズレます。
  3. 冒頭の余白をカットし、字幕開始時間を補正する。

2. 字幕が文字化けする(文字コードの問題)

主な原因

  • 字幕ファイルの文字コードが動画プレイヤーと一致していない
  • Windowsで編集した字幕を、UTF-8前提のプレイヤーで再生している
  • 古い字幕ソフトがShift-JISで保存している

対処法

  • UTF-8(BOMなし)で保存し直す(推奨)
  • SubtitleEditの「ファイル→別名で保存→UTF-8」で再保存する
  • ASS編集時はUTF-8以外を極力使わない

3. DVDの字幕OCRが誤認識だらけになる

主な原因

  • 画像字幕の品質が低い
  • 字幕の輪郭がぼやけている
  • フォントが特殊で識別が難しい

対処法

  • OCRの「トレーニング」を行い、精度を向上させる
  • 数字や記号は必ず手動でチェックする
  • 同音語や固有名詞は必ず目視で修正する
  • どうしても精度が悪い場合はSubRipなど別ソフトも併用する

4. 自動翻訳が不自然で使えない

よくある問題

  • セリフの口調や性格が失われる
  • 長文が直訳され意味がわからなくなる
  • ジョークや文化表現を誤訳する
  • 名詞や固有名詞の誤訳が多い

対処法

  • 翻訳結果を必ず「自然な日本語」に手直しする
  • 登場キャラクターごとの話し方をメモして訳語を統一する
  • 文脈に合わない訳は動画を確認しながら自分で修正する
  • 可能な限り映像を見ながら翻訳・校正する

5. 字幕の1行の文字数が長すぎて読めない

日本語字幕には一般的に以下のような目安があります。

  • 1行あたり13〜17文字程度
  • 最大2行まで
  • 1秒あたり読みやすい文字数は4〜7文字

対処法

  • 長文は短く簡潔な表現に言い換える
  • 2行に分けたり、不要な情報を削ったりする
  • 語尾の調整や主語の省略でスッキリさせる
  • SubtitleEditの文字数チェック機能を活用する

6. 字幕ファイルが動画プレイヤーで読み込めない

主な原因

  • 拡張子が間違っている
  • 字幕ファイル名と動画ファイル名が一致していない
  • フォルダ構造が正しくない
  • 再生機器がその字幕フォーマットに非対応(例:テレビでASS非対応など)

対処法

  • 字幕ファイル名を動画と同じ名前にする(例:movie.mp4とmovie.srt)
  • SRT形式に変換すれば多くの環境で再生しやすくなる
  • テレビや再生機器が対応している字幕形式を事前に確認する

7. アニメや歌詞字幕で位置・色がおかしくなる(ASS特有の問題)

原因

  • スタイル設定(フォント・位置・タグ)が環境によって解釈が異なる
  • Aegisubで作成したASSが他プレイヤーで互換性問題を起こしている

対処法

  • スタイル設定をできるだけ「デフォルト」に統一する
  • 複雑なタグや過度な装飾は避ける

スマホ・PC・テレビなど複数環境で再生テストを

字幕翻訳の注意点(法律・著作権)

字幕翻訳を行う際には、技術的な操作だけでなく、著作権や法律に関するルールを正しく理解することが重要です。特に市販DVDやオンライン配信作品の字幕を扱う場合、誤った方法で字幕を抽出したり翻訳したりすると、著作権侵害に該当する可能性があります。この章では、字幕翻訳に関する法律的な注意点をわかりやすく整理します。

1. 市販DVDのコピーガード解除は法律で禁止

日本では「著作権法第30条の2」によって、コピーガードを解除してDVDやBlu-rayをリッピングすることは禁止されています。

■ NGになる行為

  • コピーガード付きDVDのリッピング
  • コピーガードを回避して字幕データ(VOBSUBなど)を抽出
  • 抽出した字幕を第三者に配布

私的利用であってもコピーガード解除は違法なので注意が必要です。

2. 著作物(映画・アニメ・ドラマ)の字幕には著作権がある

字幕は「翻訳著作物」に該当し、多くの場合、権利は映画会社・配給会社・映像制作会社にあります。

注意点

  • DVDの字幕を抽出して第三者へ渡す→著作権侵害
  • 翻訳済み字幕をネットにアップロード→違法
  • 無断で字幕を編集・再配布→違法

つまり、自分で作った字幕以外は勝手に配布できないということです。

3. 字幕翻訳して作ったSRT/ASSを公開するときの注意

YouTubeやSNSで字幕付き動画を公開する場合、以下を必ず確認しましょう。

■ 公開OKの例

  • 自分が権利を持つ動画(自作映像)への字幕
  • 権利者から正式な許可を得ている場合

■ NGの例

  • 市販DVD・映画の映像に自作字幕をつけて公開
  • ネット配信作品をキャプチャして字幕を編集
  • 海外作品のセリフを翻訳して公開(テキストだけでもNGの場合あり)

映画・ドラマなどのセリフ自体も著作物とされるため、セリフを丸ごと引用して字幕を公開すると著作権侵害になる可能性があります。

4. 「個人利用(家庭内利用)」の範囲内であれば許可される行為

著作権法では、個人または家庭内での視聴目的に限り、以下の行為は認められます。

  • DVDを見ながら、自分用に字幕を翻訳してメモする
  • 自分の家族と視聴するために字幕を作成する
  • 自分の学習・研究目的で翻訳する

しかし、これもコピーガード解除を伴わないことが前提条件です。

5. ネットで出回っている非公式字幕(ファンサブ)は危険

海外ドラマ・アニメのファンサブ(非公式字幕)は以下の理由で問題があります。

  • 著作権侵害
  • 違法アップロードの補助
  • ウイルス・マルウェアが埋め込まれている場合もある
  • 利用・ダウンロード自体が違法となるリスクがある

自分の身を守るためにも、正規の方法・正規コンテンツのみを扱うことが重要です。

6. 自作字幕を販売・配布する場合の注意

自分が翻訳した字幕でも、元の映像作品が著作物であるため、

  • 無断で販売
  • 無断で配布
  • 無断で商用利用

これらはすべて著作権侵害となります。販売・商用利用を行う場合は、権利者から事前に正式許可を得る必要があります。

7. 権利関係に不安がある場合は必ず利用規約を確認する

動画配信サービス(Netflix、Amazon、Hulu、YouTube)の多くは、

  • 録画禁止
  • ダウンロード禁止
  • 字幕抽出禁止
  • 翻訳字幕のアップロード禁止

と明記しています。契約違反となるため、必ず各サービスの利用規約を確認しましょう。

まとめ

字幕翻訳は、単なる言語変換ではなく、映像との調和や視聴者の読みやすさを追求する、奥の深い作業です。字幕ファイルの形式理解から、翻訳手法の選択、DVD字幕の抽出、OCR処理、タイムコードの調整、そして法律面の配慮まで、注意すべきポイントは非常に多岐にわたります。

しかし、適切なツールを選び、字幕制作の基本ルールを押さえれば、初心者でも高品質な字幕を作成できます。また、自動翻訳や音声認識AIの進化により、これまで専門家だけが扱っていた作業も、誰でも手軽に始められるようになりました。