Netflixは、1997年に設立され、今世界で最も有名なストリーミングサービスの一つとなっています。1999年から定額制サービスを開始し、2009年には、加入者数が1,000万人を超え、10万本以上の映画DVDを取り扱い、そして2024年第3四半期には、利用者は2億8,000万人に達しました。 

激しい競争の中、Netflixはどのようにして成長を維持しているのでしょうか。本記事では、その要因を探ります。

20年間の加入者数の推移

Netflix subscribers number (2001-2023)

Netflixの加入者数は2001年から2023年にかけて着実に増加しました。

  • 2014年、5,000万人突破
  • 2017年、1億人突破
  • 2020年、2億人突破
  • 2023年、2億6,000万人突破

特に2019年から2020年にかけて急成長し、パンデミックの影響でストリーミングサービスの需要が急増しました。それは主に以下の3つのビジネス戦略に依存しています。

1.膨大なコンテンツライブラリー:顧客に多様なオプションを提供

content library (Q3 2023)

2023年第3四半期時点で、Netflixのコンテンツ数は8,391本。Hulu(7,250本)やDisney+(2,525本)を大きく上回り、ドラマ、ロマンス、アドベンチャー、音楽など幅広いジャンルの作品を提供しています。

2.高品質なコンテンツで忠実のファンを魅力

Netflix content spending (2012-2024)

Netflixは常にコンテンツ優先、高品質作品に定評あり、忠実ユーザーが多い。

Top 100 titles in USA (Q3 2023)

Netflixはコンテンツ制作に積極的に投資し、過去10年間(2012年~2024年)で、制作費の支出はほぼ倍増し、総額170億ドルに達しました。その結果、2023年第3四半期の米国トップ100作品のうち29本がNetflix作品となり、日本でもオリジナル作品が高い人気を誇ります。

Top 10 original content in Japan

同様に、日本でも2023年8月時点で、Netflixはストリーミングサービス10位中6位にランクインし、オリジナル作品は人気度が高い。

3.効果的なマーケティング戦略

Netflixはマーケティングとプロモーションを重視しており、2016年以降マーケティング費が10億ドルを超え、2年後の2018年、20億ドルの大台を突破し、2023年には26億ドルに達しました。毎年20億ドル以上、マーケティングとプロモーションに投入するのは5年間以上続いています。

また、有料検索リスティング広告、バナー広告、Eメール広告、有名ウェブサイトやポータルサイトへのテキスト掲載、世界中のテレビ番組や主要ウェブサイトへの商品掲載、さまざまな消費財のパッケージへの広告掲載、口コミ広告などPRキャンペーンを多く行っていました。

その結果として、2002年新規加入者のトライアルが前年比101%以上増加し、2020年と2004年の新規加入者トライアル数は前年比でそれぞれ74%と85%増加しました。

Netflix marketing expense (2017-2023)

2020年~2022年:新規会員数追加は減少

Netflix subscribers addition (2001-2023)

上記の図から知っている通り、Netflixの総加入者数は年々増加しているが、2020年から2022年にかけて有料加入者数は減少しています。理由は以下3つ考えられます。

1.パンデミックの影響

2019年第四四半期に発生したCOVID-19の影響で、Netflixは在宅勤務の増加や海外出張の制限により業務や制作が停滞しました。さらに、経済の停滞で工場が操業停止し、パートナー企業やサードパーティサプライヤーの倒産も発生しました。これにより制作コストが上昇し、新サービスやコンテンツの提供が減少、結果として新規加入者の減少につながりました。Netflixの財務報告では、2020年のコンテンツ投資が200億ドル減少したことが示されています。

Netflix content spending (2012-2024)

2.ライバルの台頭

market share of SVoD service by platform

パンデミックにより、ストリーミング業界とゲーム業界の競争が激化し、Netflixは違法なビデオサイトと含めてさまざまなライバルと争うことになりました。その結果、ジャストウォッチの統計によると、市場シェアは2020年の32%から2024年には21%に減少。一方、MaxやHulu、Paramount+などの競合はシェアを拡大し、特に米国ではMaxが5年間で3倍、3%から13%、Huluが5%から10%、Paramount+が4%から9%へと成長しています。

3.個別要因

  • 経済要因:パンデミック影響で収入が減少している利用者がいます。その結果、多くの人が購読をやめました。
  • カスタムへの不満:カスタムサービス対応の不満でNetflixを利用しなくなる人もいます。

2022-2023:回復と戦略

Netflix subscribers addition (2001-2023)

このグラフを見ると、ネットフリックスの加入者数の伸びは、2023年以降、再び活力を取り戻し、上昇傾向にあることがよくわかります。以下、その戦略です。

1.質の高い作品を提供する

評価基準を視聴時間とした ネットフリックス・エンゲージメント・レポートによると、上位20作品はすべて2022年後半から2023年前半にリリースされます。このレポートでは、18,000本以上の映画が対象となり、Netflixの全視聴数の99%を占めています。高品質の作品を提供することにより多くのファンを魅力しています。

 

タイトル

全世界で視聴可能か?

公開日

視聴時間

1

ナイト・エージェントシーズン1

視聴時間

2023/3/23

812,100,000

2

ジニー&ジョージアシーズン2

ジニー&ジョージア シーズン2

2023/1/5

665,100,000

3

ザ・グローリーシーズン1 // 더 글로리: 시즌 1

邦題

2022/12/30

622,800,000

4

水曜日シーズン1

シーズン1

2022/11/23

507,700,000

5

クイーン・シャーロットブリガートン物語

邦題:クイーン・シャーロット:ブリガートン・ストーリー

2023/5/4

503,000,000

6

あなたシーズン4

はい

2023/2/9

440,600,000

7

ラ・レイナ・デル・スールシーズン3

シーズン3

2022/12/30

429,600,000

8

アウター・バンクスシーズン3

シーズン3

2023/2/23

402,500,000

9

ジニー&ジョージアシーズン1

シーズン1

2021/2/24

302,100,000

10

FUBAR: シーズン1

放送日

2023/5/25

266,200,000

11

マニフェストシーズン4

シーズン4

2022/11/4

262,600,000

12

カレイドスコープリミテッド・シリーズ

2023/1/1

252,500,000

13

ホタルノヒカリシーズン2

邦題:ホタルノヒカリ

2022/12/2

251,500,000

14

ザ・マザー

2023/5/12

249,900,000

15

フィジカル:100:シーズン1 // 피지컬:100: 시즌 1

(シーズン1)

2023/1/24

235,000,000

16

クラッシュ・コース・イン・ロマンスリミテッド・シリーズ // 일타 스캔들: 리미티드 시리즈

邦題

2023/1/14

234,800,000

17

ラブ・イズ・ブラインドシーズン4

邦画・洋画

2023/3/24

229,700,000

18

ビーフシーズン1

シーズン1

2023/4/6

221,100,000

19

ザ・ディプロマットシーズン1

日本

2023/4/20

214,100,000

20

ルーサーザ・フォールン・サン

邦画・洋画

2023/3/10

209,700,000

ニールセンが2023年に発表した米国地域のテレビ・映画番組の視聴率ベスト10を例にとると、ネットフリックスはオリジナルコンテンツ分野と買収コンテンツ分野の両方で7作品を独占しています。

2023 Top 10 original streaming programs

2023 Top 10 acquired streaming programs

2023 Top 10 streaming movies

2.アカウント共有ポリシーの変更

ネットフリックスは2023年2月、地域制限のなかったアカウント共有ポリシーを、同一世帯に住む人だけがプラットフォームとパスワードを共有できるポリシーに変更することを発表しました。

その結果、ネットフリックスは2023年第2四半期に、米国とカナダで100万人以上を含む600万人の新規加入者を獲得しました。2023年第3四半期880万人となり、2022年第3四半期の240万人より大幅に増加し、売上高は6400万ドル増加しました。

Netflix subscribers in America and Canada (2013-2024)

3.低価格の広告付きプランの導入

Netflixは2022年10月、20年来の広告なしモードをやめ、AVOD(Advertising-Based Video on Demand)サブスクリプション・プログラムを導入したため、一定量の加入者を魅力しました。広告つきプランにより価格を下げました。

例えば、10月19日、ネットフリックスは米国市場での価格を調整し、広告なしの標準パッケージを15.49ドル/月、プレミアムパッケージ(4K対応)を22.99ドル/月、広告付きパッケージを6.99ドル/月に設定しました。作品の視聴に邪魔しない程度の広告なら利用者は許します。

一方、その広告会員数は、2023年第3四半期に、前四半期から70%増加しました。第3四半期に約30%の新規加入者が広告つきプランを選びました。

また、インドの高いデータコスト、インターネットの普及率の低さなどを考慮して、この地域に特化したコンテンツを作り出し、カスタマイズされた購読プランを提供することで、新規加入者が増えました。

Netflix ad-supported subscribers by region

2025年はどう?

Netflix subscribers 2024

2024年第1~3四半期のデータによると、Netflixを購読している人数は引き続き増加し、第3四半期には2億8,000万を突破しました。各四半期は前年同期比でそれぞれ、15%、16%、14%、5%、8%、10%、6%、5%、4%であり、500万以上増え、安定した成長を示しています。比率については2024年加入者数は2023年比で14%増加しました。

また、2024年に値上げが発表されましたが、これも高品質のオリジナルコンテンツを作るための必要な手段でしょう。2025年には3億人を超えるかもしれません。

本記事のデータの一部は、2002年から2023年までのNetflixのアニュアルレポートによるものです。