AVCREC方式とは?VR方式との違いは?対応機器と再生できない時の対処法を紹介
要約: 通常、テレビ番組等のデジタル映像データは、ブルーレイディスクを使って専用のレコーダーで録画する方法が一般的です。しかし、市販されているレコーダーの中には、普及率が高いDVDで録画する、AVCREC方式を採用しているメーカーもあります。ここでは、AVCREC方式の特徴を説明するとともに、AVCREC方式で録画したDVDを再生する方法等についても紹介します。
目次
AVCREC方式とは?
AVCREC方式とは、地上デジタル放送やBS・CSデジタル放送などの高画質番組をH.264(MPEG-4 AVC)という高圧縮コーデックを使って、Blu-rayディスクやDVDに録画する方式です。2007年頃から普及し始め、特にPanasonicの「DIGA(ディーガ)」シリーズなどに搭載されてきました。
H.264はMPEG-2に比べて同じ画質でもファイルサイズが小さく、より長時間の録画が可能というメリットがあります。また、HDD容量を節約しながらも、高画質なまま番組を保存したいというニーズに応えた記録形式です。
- H.264で圧縮するため、長時間録画でも高画質を維持
- BD-RやBD-REはもちろん、一部DVDにも記録可能
- デジタル放送の録画に適しており、番組の画質をほぼ劣化させずに保存可能
豆知識:BDAV方式との違いも簡単に紹介
AVCRECと似たようなBlu-rayの録画方式として「BDAV」があります。
比較項目 | AVCREC方式 | BDAV方式 |
圧縮形式 | H.264(MPEG-4 AVC) | MPEG-2 TS |
対応メディア | BD-R / BD-RE / DVD(※) | 基本的にBD-R / BD-REのみ |
特徴 | 高圧縮・高画質・長時間録画が可能 | 汎用性が高く再生互換性も安定 |
※DVDにAVCRECで記録したディスクは、AVCREC対応機器でしか再生できない点に注意が必要です。
AVCREC方式とVR方式の違い
DVDメディアでテレビ番組を録画する形式としては、AVCREC方式以外にもVR方式やビデオ方式と呼ばれるものがあります。VR方式はAVCREC方式と同様、地上デジタル放送等の「コピー・アット・ワンス」対応番組を録画できる方法の一つです。デジタル映像データを録画するには、「CPRM」に対応しているDVDメディアが必要ですが、フォーマットをする時にVR方式を選べます。
以下はAVCREC方式 と VRモード(Video Recording Mode) の主な違いについて比較した内容です:
項目 | AVCREC方式 | VRモード |
目的 | 高画質なBlu-ray品質の映像をDVDに記録するために開発 | DVDレコーダーで録画した映像を編集・管理するためのモード |
記録メディア | DVD-R/DVD-RW(Blu-rayフォーマットで記録) | DVD-RW/DVD-RAM |
圧縮形式 | H.264/AVC(高効率圧縮) | MPEG-2(標準的な圧縮形式) |
画質 | Blu-rayに近い高画質 | 標準画質または少し高画質 |
再生互換性 | AVCREC対応Blu-rayプレーヤーまたはレコーダーで再生可能 | VRモード対応のDVDプレーヤーまたはレコーダーで再生可能 |
編集機能 | 編集機能は限定的 | 部分削除、チャプター設定、プレイリスト作成などが可能 |
用途 | 高画質映像(特に地デジやBSデジタル)の録画 | 家庭用録画映像の編集や簡易保存 |
採用時期 | Blu-rayが普及し始めた2000年代後半 | DVDレコーダーの全盛期(2000年代初頭) |
互換性の広さ | 専用の再生環境が必要(AVCREC対応機器) | VRモード対応機器が比較的多い |
AVCREC方式はBlu-ray画質をDVDメディアに記録したい場合に使用され、画質を重視する場面に適しています。ただし、互換性はAVCREC対応機器に依存します。
VRモードはDVDレコーダーでの録画・編集を目的としており、柔軟な編集機能が特徴ですが、画質は標準的です。
どちらを選ぶかは、目的(画質優先か、編集機能優先か)と利用する機器の対応状況によって異なります。
ビデオ方式に関しては、AVCREC方式やVR方式とは異なり、デジタル放送の録画自体に対応していないという特徴があります。市販またはレンタルDVDで採用されている方式で、市販されている全てのDVDレコーダーでの再生に対応しています。
AVCREC対応のメディアと対応機器
AVCREC対応のメディア
地上デジタル放送等のデジタル映像データは、その大半が「コピー・アット・ワンス」と呼ばれる、一度だけコピーができる仕組みを採用しています。「コピー・アット・ワンス」対応の番組を専用のレコーダーで録画するには、「CPRM」というコピーガードに対応したメディアが必要です。
AVCREC対応のメディアとしては、市販されているDVD-RやDVD-RWが該当しますが、「CPRM」に対応しているDVDメディアのみが録画に対応しています。その上で、持っているレコーダーやプレイヤーが、AVCREC方式の録画や再生に対応しているかどうかを確認します。
AVCREC方式で録画した番組を再生するには、「MPEG-4AVC/H.264」及び「CPRM」の両方に対応したプレイヤーが必要となります。加えて、映像出力に関係するディスプレイやケーブル、グラフィックボードも「CPRM」に対応しているものを揃える等、再生に対するハードルが他のメディアより高い点が、AVCREC方式の特徴です。
AVCREC対応機器とは
AVCREC対応機器 とは、AVCREC方式で記録されたDVDメディアを再生または録画できる機能を持つ家電製品を指します。主に、Blu-rayディスクの映像フォーマット(H.264/AVC)をDVDメディアに記録・再生するために設計されています。
AVCREC対応機器の種類
録画対応機器 | パナソニック「DIGA」シリーズ、ソニー「BDZ」シリーズ、シャープ「AQUOSブルーレイ」シリーズなど |
再生対応機器 | シャープ「AQUOSブルーレイ」シリーズ、東芝「REGZAブルーレイ」シリーズ |
パソコンで再生する場合 |
PowerDVD、WinDVDなど |
再生機器の制約:AVCREC方式のディスクは、AVCREC対応機器でのみ再生可能。通常のDVDプレーヤーでは再生できません。
対応の減少:Blu-rayディスクの普及により、AVCREC対応機器は新製品では少なくなっています。
互換性確認:製品購入時に「AVCREC対応」の記載があるかを確認する必要があります。
AVCRECが再生できない・見られない時の対処法
AVCRECで録画したディスクが再生できない場合、以下の原因が考えられます:
- 再生機器がAVCRECに非対応
- CPRM(著作権保護)付き番組を録画している
- ディスク自体の読み取り不良や傷
- ソフトウェアがAVCREC形式に非対応
AVCREC方式で録画されたDVDを再生するには、「MPEG-4 AVC/H.264」と「CPRM」に対応したプレイヤーが必要で、再生可能な機器が限られます。さらに、全てのDVDプレイヤーで再生するには、コピーガードやリージョンコードを解除する必要があります。
一般的な「CPRM」対応プレイヤーは再生機能のみを提供するため、CPRM解除には別途専用ソフトが必要です。その代表例が「Passkey for DVD」で、コピーガードを解除してリッピングを行うことができます。
市販やレンタルのDVDに掛けられたCSS、RC、RCE、APSなどのコピーガードを解除できるだけでなく、記録したCPRM DVDディスクにも対応しています。
CPRM解除後、DVDを直接視聴するか、ISOファイル/フォルダにリッピングすることができます。
無料版も存在しますが、解除できるコピーガードの種類等における機能制限があるため、より高性能な機能を使う場合は、有料版を購入する必要があります。現在では30日間に長引く全機能体験できる無料体験がご用意され、必要としている場合はどうぞ上記のボタンを押してダウンロードして体験しててください。
※ 最新のAVCREC方式で録画されたDVDに対応していない場合があります。
Passkey for DVDを使用して、CPRMを解除する方法
地デジの録画したDVDをパソコンのドライブ(CPRM対応)に挿入してください。
録画したDVDにかかっているCPRMを成功に解除したら、「情報」画面に緑の印が現れます。DVDディスクを再生できるようになりました。
デスクトップの右下側にあるDVDFab Passkeyのアイコンを右クリックして、「ハードディスクにリッピング(H)...」または「イメージファイルにリッピング(I)...」を選択します。
下図の「ターゲット」から保存先を選んで、「リッピング」ボタンをクリックしてください。
後は、リッピングプロセスが完了するまで待つことだけです。
まとめ
AVCREC方式は、ブルーレイディスク以外の外部メディアでは視聴できない地上デジタル放送等のデジタル映像データを、容量の少ないDVDで観るための方式です。ブルーレイディスクプレイヤーがない環境でも、録画した地上デジタル放送等をDVDプレイヤーで視聴できます。また、CPRM Decrypter、Passkey for DVDなどの専用のソフトを使用してCPRMを解除した後、他の動画データへの変換も可能となります。