AVCREC方式とは?VR方式との違いは?対応機器と再生できない時の対処法を紹介
要約: 通常、テレビ番組等のデジタル映像データは、ブルーレイディスクを使って専用のレコーダーで録画する方法が一般的です。しかし、市販されているレコーダーの中には、普及率が高いDVDで録画する、AVCREC方式を採用しているメーカーもあります。ここでは、AVCREC方式の特徴を説明するとともに、AVCREC方式で録画したDVDを再生する方法等についても紹介します。
目次
AVCREC方式とは?
高画質のデジタル映像データを、ブルーレイディスク以外のメディアでも再生できる方法として、AVCREC方式が広く知られています。
AVCREC方式は、Blu-rayディスクで使われる映像圧縮技術である「MPEG-4AVC/H.264」を利用して、Blu-rayの映像規格をDVDメディアに記録する方式です。主に、容量の少ないDVDメディアに高画質な映像を保存するために採用されています。
デジタルハイビジョン画質の他、BDAV形式にはない標準画質も選べるため、映像データをより少ない容量で格納できる仕組みとなっています。音楽系コーデックは、AACやドルビーデジタルといった、BDAV方式と同様のものが選べます。
BDAV方式と同様、AVCREC方式もレコーダーの設定により、画質重視か容量重視にするかを選べる点が特徴です。ハイビジョン画質で録画する等、画質を重視する場合は、片面1層であれば約42分、片面2層なら約1時間20分となります。一方、標準画質で録画して容量を重視するケースでは、片面1層で約5時間、片面2層なら約9時間30分もの番組が保存可能です。さらに、録画したメディアがDVD-RWといった追記可能なメディアであれば、不要なものを削除して別の番組を収録できるようになります。
なお、AVCREC方式は、デジタルハイビジョン画質の映像データを、DVD等の低容量メディアで再生するための規格となっています。主に、AVCREC方式対応のブルーレイディスクレコーダーを用いて、DVDに収録する方法が一般的ですが、専用のチューナーと再生ソフトを使えば、パソコンでも録画や再生が可能です。
ただし、AVCREC方式で録画されたデジタル映像データには、簡単に他の記憶媒体に保存できないよう、コピーガードがかかっています。従って、AVCREC方式のメディアを再生するには、コピーガードを解除できる等の仕組みを備えた、専用のプレイヤーが必須です。
豆知識:BDAV方式とは?
地上デジタル放送等のデジタル映像データを、レコーダーに直接録画するには、ハードディスクまたはブルーレイディスクが用いられます。このうち、録画したレコーダー以外で再生する方法としては、複数のデジタル映像データを収録できるブルーレイディスクが広く知られています。対象となるブルーレイディスクには、市販されているBD-R及び、BD-REといったメディアが該当します。ブルーレイディスクレコーダーを経由してブルーレイディスクにデジタル映像データを録画する際には、BDAV方式で書き込まれる点が特徴です。
映像等のデジタルデータを「MPEG-2 TS」で格納するBDAV方式は、映像コーデックにMPEG-2とMPEG-4AVCを、音声コーデックにリニアPCMやAAC等を採用しています。地上デジタル放送のデータ放送もまとめて収録できる他、レコーダーの設定により、様々な収録方法を選べる点が特徴です。
収録方法の具体例としては、収録する番組数を制限する代わりに、放送している番組をデータ放送も含めてオリジナルの形で収録するモードと、オリジナルよりも画質は劣るものの、より多くの番組を収録できるモードの2つがあります。
しかし、BDAV方式で収録したブルーレイディスクは、当然ながらブルーレイディスクに対応したプレイヤー以外では再生そのものが不可能です。仮に、ブルーレイディスクプレイヤーがあったとしても、一部のプレイヤーでは再生できないという問題点も出てきます。
AVCREC方式とVRの違い
DVDメディアでテレビ番組を録画する形式としては、AVCREC方式以外にもVR方式やビデオ方式と呼ばれるものがあります。VR方式はAVCREC方式と同様、地上デジタル放送等の「コピー・アット・ワンス」対応番組を録画できる方法の一つです。デジタル映像データを録画するには、「CPRM」に対応しているDVDメディアが必要ですが、フォーマットをする時にVR方式を選べます。
AVCREC方式 はBlu-ray画質をDVDメディアに記録したい場合に使用され、画質を重視する場面に適しています。ただし、互換性はAVCREC対応機器に依存します。
VRモード はDVDレコーダーでの録画・編集を目的としており、柔軟な編集機能が特徴ですが、画質は標準的です。
どちらを選ぶかは、目的(画質優先か、編集機能優先か)と利用する機器の対応状況によって異なります。
ビデオ方式に関しては、AVCREC方式やVR方式とは異なり、デジタル放送の録画自体に対応していないという特徴があります。市販またはレンタルDVDで採用されている方式で、市販されている全てのDVDレコーダーでの再生に対応しています。
以下はAVCREC方式 と VRモード(Video Recording Mode) の主な違いについて比較した内容です:
項目 | AVCREC方式 | VRモード |
目的 | 高画質なBlu-ray品質の映像をDVDに記録するために開発 | DVDレコーダーで録画した映像を編集・管理するためのモード |
記録メディア | DVD-R/DVD-RW(Blu-rayフォーマットで記録) | DVD-RW/DVD-RAM |
圧縮形式 | H.264/AVC(高効率圧縮) | MPEG-2(標準的な圧縮形式) |
画質 | Blu-rayに近い高画質 | 標準画質または少し高画質 |
再生互換性 | AVCREC対応Blu-rayプレーヤーまたはレコーダーで再生可能 | VRモード対応のDVDプレーヤーまたはレコーダーで再生可能 |
編集機能 | 編集機能は限定的 | 部分削除、チャプター設定、プレイリスト作成などが可能 |
用途 | 高画質映像(特に地デジやBSデジタル)の録画 | 家庭用録画映像の編集や簡易保存 |
採用時期 | Blu-rayが普及し始めた2000年代後半 | DVDレコーダーの全盛期(2000年代初頭) |
互換性の広さ | 専用の再生環境が必要(AVCREC対応機器) | VRモード対応機器が比較的多い |
AVCREC対応のメディアと対応機器
AVCREC対応のメディア
地上デジタル放送等のデジタル映像データは、その大半が「コピー・アット・ワンス」と呼ばれる、一度だけコピーができる仕組みを採用しています。「コピー・アット・ワンス」対応の番組を専用のレコーダーで録画するには、「CPRM」というコピーガードに対応したメディアが必要です。
AVCREC対応のメディアとしては、市販されているDVD-RやDVD-RWが該当しますが、「CPRM」に対応しているDVDメディアのみが録画に対応しています。その上で、持っているレコーダーやプレイヤーが、AVCREC方式の録画や再生に対応しているかどうかを確認します。
AVCREC方式で録画した番組を再生するには、「MPEG-4AVC/H.264」及び「CPRM」の両方に対応したプレイヤーが必要となります。加えて、映像出力に関係するディスプレイやケーブル、グラフィックボードも「CPRM」に対応しているものを揃える等、再生に対するハードルが他のメディアより高い点が、AVCREC方式の特徴です。
AVCREC対応機器とは
AVCREC対応機器 とは、AVCREC方式で記録されたDVDメディアを再生または録画できる機能を持つ家電製品を指します。主に、Blu-rayディスクの映像フォーマット(H.264/AVC)をDVDメディアに記録・再生するために設計されています。
AVCREC対応機器の種類
1. Blu-rayレコーダー
地上デジタル放送やBS/CSデジタル放送をAVCREC形式で録画可能。
DVDメディアにBlu-rayクオリティの映像を保存できる。
再生機能も搭載しており、記録されたAVCRECディスクを視聴可能。
例:パナソニック「DIGA」シリーズ、ソニー「BDZ」シリーズ。
2. Blu-rayプレーヤー
AVCREC方式で記録されたディスクを再生可能。
レコーダーに比べ録画機能はないが、対応したプレーヤーで視聴可能。
例:シャープ「AQUOSブルーレイ」シリーズ、東芝「REGZAブルーレイ」シリーズ。
3. テレビ一体型レコーダー
テレビに録画機能が内蔵された製品の一部もAVCREC対応。
テレビで視聴しながらAVCREC形式で録画が可能。
4. PC用Blu-rayドライブ
一部のBlu-ray対応PCドライブでもAVCRECディスクの読み取りが可能。
再生ソフトが対応している必要がある(例:PowerDVDなど)。
主な用途
- 録画:地上デジタルやBS/CSデジタル放送を高画質のままDVDメディアに保存する。Blu-rayディスクよりも安価なメディアを利用可能。
- 再生:録画したAVCRECディスクを対応機器で視聴。再生には専用の機器が必要。
注意点
再生機器の制約:AVCREC方式のディスクは、AVCREC対応機器でのみ再生可能。通常のDVDプレーヤーでは再生できません。
対応の減少:Blu-rayディスクの普及により、AVCREC対応機器は新製品では少なくなっています。
互換性確認:製品購入時に「AVCREC対応」の記載があるかを確認する必要があります。
AVCRECが再生できない時の対処法
AVCREC方式で録画されたDVDを再生するには、「MPEG-4 AVC/H.264」と「CPRM」に対応したプレイヤーが必要で、再生可能な機器が限られます。さらに、全てのDVDプレイヤーで再生するには、コピーガードやリージョンコードを解除する必要があります。
一般的な「CPRM」対応プレイヤーは再生機能のみを提供するため、コピーガード解除には別途専用ソフトが必要です。その代表例が「Passkey for DVD」で、コピーガードを解除してリッピングを行うことができます。
Passkey for DVDは、市販やレンタルのDVDに掛けられたCSS、RC、RCE、APSなどのコピーガードを解除できるだけでなく、AVCREC方式やVR方式で記録したDVDディスクにも対応しています。
CPRM解除後、DVDビデオを直接視聴できるようになります。また、ISOファイル/フォルダへのリッピングもできます。
無料版も存在しますが、解除できるコピーガードの種類等における機能制限があるため、より高性能な機能を使う場合は、有料版を購入する必要があります。現在では30日間に長引く全機能体験できる無料体験がご用意され、必要としている場合はどうぞ上記のボタンを押してダウンロードして体験しててください。
Passkey for DVDを使用して、CPRMを解除する方法
地デジの録画したDVDをパソコンのドライブ(CPRM対応)に挿入してください。
録画したDVDにかかっているCPRMを成功に解除したら、「情報」画面に緑の印が現れます。DVDディスクを再生できるようになりました。
デスクトップの右下側にあるDVDFab Passkeyのアイコンを右クリックして、「ハードディスクにリッピング(H)...」または「イメージファイルにリッピング(I)...」を選択します。
下図の「ターゲット」から保存先を選んで、「リッピング」ボタンをクリックしてください。
後は、リッピングプロセスが完了するまで待つことだけです。
まとめ
AVCREC方式は、ブルーレイディスク以外の外部メディアでは視聴できない地上デジタル放送等のデジタル映像データを、容量の少ないDVDで観るための方式です。ブルーレイディスクプレイヤーがない環境でも、録画した地上デジタル放送等をDVDプレイヤーで視聴できます。また、コピーガードを外す専用のソフトと併用する形で、他の動画データへの変換も可能となります。