須賀さんが帆高を止めた理由と窓を開けた理由は?【天気の子 考察】
要約: 須賀さんが帆高を止めた理由と窓を開けた理由は?【天気の子 考察】
目次
小栗旬さんが演じた「須賀圭介」画像の権利者: 2019「天気の子」制作委員会
雨水が入ってくるのが分かっていたのに、窓を開けた須賀さん
帆高にご両親から捜索願が提出され、警察は捜索を始めます。捜査の手は須賀さんの事務所に行きました。
この場合、もちろん須賀さんは帆高を誘拐した「誘拐容疑」を掛けられます。
須賀さんはこの時期、娘さんと一緒に住むための手続きをしている途中で、面倒事は御免だったわけです。
だから、須賀さんは帆高を事務所から追い出します。退職金を多額与えてまで。
つまりは、自分のために、帆高を売ったわけです。
ですがこれは、正直なところ当たり前の行為で、誰でも須賀さんの立場であればこうするでしょう。
そんな須賀さんのところに、とある刑事がやってきます。
画像の権利者: 2019「天気の子」制作委員会
画像にある「安井刑事」です。
この安井刑事の言葉により、須賀さんはあることに気づきます。
安井刑事は、「陽菜に、全てをかなぐり捨ててでも会いたいと言う帆高を、羨ましい気もする」と言いました。
加えて、陽菜が天気と引き換えに犠牲になったらしい。とも告げます。
この言葉を聞き、須賀さんは無意識に涙を流します。
須賀さんは、奥さん(愛しい人)に会えない辛さを、帆高にも味合わせてしまったことに後悔していたんです。
しかし、もう陽菜は消えてしまっていて、どうにもならないやるせなさに出た「悔し涙」です。
刑事が来る前、つまりこの事実を聞く前に、雨水が入ってくるのが分かっていたのに、窓を開けてしまったのは、帆高を追い出してしまったことと、陽菜が消えてしまう予感を無意識に感じていたことによって自暴自棄な心境になっていたからです。
無意識に気づいたのは、空が急に晴れたからでしょうね。「人柱」がいなくなると、空が晴れる。という話を取材で須賀さんは耳にしていたので。
ここで重要なのは、須賀さんが本当の意味で自分の気持ちに気づくのは、ラストシーンで帆高を止めるシーンだということです。
あくまで、無意識に出た涙であり、無意識であるからこそ、心からの想いなんだと胸を打たれます(´;ω;`)
須賀さんが帆高を止めようとした理由
陽菜は力を使いすぎて、空の世界と繋がってしまい、帆高が鳥居を目指し走り出しますが、鳥居の前に来たところで須賀さんが止めに入ります。
「何わけの分からないこと言ってんだ。今ならまだ間に合う引き返せ。」と言って。
この時の須賀さんの気持ちは、「帆高を助けようとしている気持ち」と「自分の気持ちを押し殺している気持ち」の二つの気持ちがありました。
「帆高を助ける」というのは、社会的な意味で、です。
警察から逃亡して、銃を向ければ当然、逮捕されます。
須賀さんは、それを危惧して帆高を止めようとしていました。あんまり言うこと聞かない帆高を殴ってまで止めようとしています。
大人まで生きれば、誰だって犯罪を犯すのが最も怖いことだと認知していて当然です。仕事も無くなりますし。
そんな大人まで生きているからこそ、須賀さんは帆高を必死に止めようとしたんでしょう。
流石に殴ったのはびっくりした方多いんじゃないでしょうか?筆者もびっくりしましたw
この「帆高を助けようとする気持ち」と反していたのが、「自分の気持ちを押し殺している気持ち」です。
「自分の気持ち」というのは、須賀さんの「会えなくなった人に会いたい」という気持ちです。
須賀さんは、奥さんを失くしていますよね。
愛しい人に会えない悲しみは須賀さんだって痛いほどわかっているはずです。
しかし、帆高の言うことは、陽菜さんは天気と引き換えに犠牲になった。という現実味の無い話。
これから広がる帆高の人生を棒に振ってまで賭けてみる価値はあるのか。と須賀さんは葛藤していました。
同じ願いを叫ぶ帆高と須賀さん、そして須賀さんは・・・
そんな中、警察が帆高を包囲し、お互い銃を向け合うシーン。
帆高は現状をどうにもできない悔しさを込め、空に向かって引き金を引きます。
「僕はただもう一度、陽菜さんに。会いたいんだっ!!」
この言葉で、須賀さんはさらに歯を食いしばります。
自分と同じ「愛おしい人にただ、会いたい。」そんな思いを帆高が叫ぶのに、胸が張り裂けそうになったことでしょう。
須賀さんは、亡くした奥さんと、更には娘にもほとんど会えない状況です。ここのシーンでの伏線として、娘に会いたいと懇願するシーンが描写されています。
そんな悲痛の叫びと共に、帆高が取り押さえられ、望みが尽きよとうとした瞬間に、須賀さんは決心します。
すべてを捨てて、帆高の、そして須賀さん自身の願いを叶えようと。
「(何も知らない)お前らが、帆高に触るな!」といい、須賀さんは高井刑事にタックルをお見舞いしました。
結果、大人としては最も恐ろしい逮捕になったわけですが、手錠をかけられている須賀さんは、後悔していた須賀さんはより、よほどいい顔をしていました。
須賀さんの奥さんについて
須賀さんの奥さんは、名前を「明日花」といい、作中ですでに他界しています。
しかし、そうですね。須賀さんの心に残っているとでもいうのでしょうか。須賀圭介という男の様々なところが明日花さんの影響を受けています。
K&Aの名前の由来
これずっと気になっていた方も多いんじゃないでしょうかw
これは、【Keisuke&Asuka】
つまり、須賀さんと明日花さんの名前から来ているわけです。ロマンティックどころの話じゃないですよね。イケメンすぎ須賀。
須賀さんの指輪
須賀さんには、指輪を触る癖があります。触るたびに奥さんを思い出しているんですが、触るシーンに注目です。
それは、窓を開けるシーンの前後です。
ここのシーンは、会いたい人にただ会いたいと叫ぶ帆高を止めるべきか、背中を押すべきか葛藤していたシーンで、須賀さんと帆高愛おしい人への想いがリンクする非常に大事なシーンです。
ここのシーンで、頻繁に指輪を触る(=奥さんを思い出す)描写で、須賀さんが葛藤しているのが、帆高と同じ愛おしい人への気持ちを持っているからだという伏線染みた役割をしていました。
しかも、2つしていた指輪は、1つは自分のもので、もう1つは明日花さんのものです。だから一途やて須賀。泣かせるやんけ。。。
ラストシーンの須賀さんのセリフ
三年後のシーンです。帆高が高校を卒業し、保護観察期間を終えて、陽菜さんに会いに来ます。
当然、須賀さんにも会いに来るわけです。
この時須賀さんは、そこそこの規模の会社の社長でした。帆高と一緒に人生を棒に降ったかと思いきや、粘り強く生きている須賀さんにほっこりとします。
帆高は、「自分のした選択の所為で世界が変わってしまった」と須賀さんに言います。
この言葉に須賀さんは
「気にするほどのことじゃあない。」「世界なんて、どうせはじめから狂ってんだから。」
と言い放ちます。
帆高の「変わってしまった」という言葉に対し、「狂っている」と返しています。
この「狂っている」というセリフ表現は、映画「天気の子」で密かに描写されていた現実世界の実問題に掛けられています。
現実世界と絡めて、描写されているポイントは下の記事で詳しく考察しています。
「天気の子」では、実際に「狂い始めている現代社会」の問題を、そのまま設定などに絡めて、現代社会に訴える描写が多くあります。
同じく、新海誠さんの作品である「言の葉の庭」なんかも、当時問題となっていた「生徒による教師へのいじめ」を物語に深く絡めていました。
そんな世界に向けて、須賀さんは映画の中で、「世界なんてどうせはじめから狂っている」と言っています。
つまり、「現代社会はもう狂っているぞ」と映画を通して、観客たちに密かに伝えています。
この一言は、かなり深いです。
言うなれば、映画の設定のほとんどが伏線になっていますから。
どこらへんが狂っているのかは、上の記事を読んで頂ければ結構かと思います。
それでは、今回はこの辺で。また次回。
8/16 2:10 ~須賀さんの心境に思いを馳せながら、コーヒーを一啜り~